Go Wild! Go Punk!

おいらは餌も水も与えられずに、1人ぼっちでアパートに閉じ込められていたところを

1週間後、SPCAのローレイさんという人に助けられたんだ。

発見された時は、栄養失調で顔だけがやけに大きなパピーだった。

だから、ご飯大好き！

あればあるだけ食べちゃうよ！

目の前にご飯を置かれたら、誰の言うことも聞かないよ！

奪ってでも食べちゃうよ！

ご飯だけじゃなくて、落ち葉も昆虫も小石も

目に入ったものは何でも食べなきゃ気が済まない。

『飢餓経験がある犬』っていうらしい。

なんか、ワイルドでいいだろ？

更に、誰かが一緒にいてくれないと、うひゃー！っとはっちゃけちゃうんだ。

父ちゃんと母ちゃんの両方が視界から消えちゃうと

もう、おいらは無敵！

スチール製のクレートだって壊しちゃうし

父ちゃんがわざわざアメリカから買ってきてくれた専用ベッドも粉々に噛みちぎっちゃうんだ。

パンクだろ？

もっとカッコよく言うと『離人不安』って言うんだって。

これはおいらの今までの人生経験で身についたものだから

何て言うか、まあ、おいらの人生観みたいなものなんだけど

父ちゃんと母ちゃんはすごく心配して

ご飯は1日4回に分けて、必ずくれるし

24時間どこにも出掛けず

ずっとおいらの傍にいてくれたんだ。

おいらはまだパピーだから、新しい経験が少しずつ昔の経験に上書きされて

今は、ご飯を前にしても

母ちゃんに「食べていいよ」と言われるまで10分以上待てるし

30分までなら、父ちゃんと母ちゃんがいなくても

大人しくお留守番できるようになったんだ。

だって、待ってさえいれば、ご飯は必ずもらえるし

待ってさえいれば、父ちゃんと母ちゃんは必ず帰って来てくれると分かったからね。

父ちゃんと母ちゃんは、毎日おいらを叱るけど

叱った分だけ、褒めてもくれる。

それに、決してぶったり、意地悪はしないんだ。

叱られるのは、放っておかれるより、ずっとずっと幸せなことなんだ。

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